HPCスタッフコラム

2018.10.03

レップ持続時間がレジスタンスエクササイズのボリュームと筋活性に与える影響

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Journal of Strength and Conditioning Researchの2018年32(9)号においてレップ持続時間とレジスタンストレーニングのボリュームと筋活性についての論文が発表されています。
この研究におけるレップの持続時間(Repetition Duration; DU)とは1レップを行う時にかかる時間を指し、一般的には広くTime Under Tension(TUT:張力下の時間)として知られています。TUTの増加は体内のたんぱく質の再合成の増加につながる(1)ともされており、筋肥大を目的としたトレーニングでは、このTUTを長くすることでより効果的に筋量の増加を目指すこともあります。
今回のNobregaらによる研究では異なるレップ持続時間によるレジスタンストレーニングへの影響を比較しています。

参考文献
1.Nicholas A. Burd Richard J. Andrews Daniel W.D. West Jonathan P. Little Andrew J.R. Cochran Amy J. Hector Joshua G.A. Cashaback Martin J. Gibala James R. Potvin Steven K. Baker Stuart M. Phillips. Muscle time under tension during resistance exercise stimulates differential muscle protein sub‐fractional synthetic responses in men. J Physiol 590.2: 351–362, 2012

 

Self-selected vs. fixed repetition duration: effects on number of repetitions and muscle activation in resistance-trained men
自己選択したレップ持続時間vs決められたレップ持続時間:レジスタンストレーニングを行う男性における反復回数と筋活性への影響

Nobrega, SR, Barroso, R, Ugrinowitsch, C, da Costa, JLF, Alvarez, IF, Barcelos, C, and Libardi, CA.

J Strength Cond Res 32(9): 2419–2424, 2018

研究の目的
自己選択したレップ持続時間(RD)と決められたレップ持続時間がレップ及びセッションごとのレジスタンストレーニング(RE)のボリューム、筋活性と張力下の時間(TUT)に与える影響を比較する。

被験者
レジスタンストレーニング経験のある男性12名(年齢:23.6±3.8才、体重:78.9±10.4㎏、身長:176.0±4.0㎝、45度レッグプレス1RM:498±48.7㎏、平均±標準偏差)。

方法
無作為のクロスオーバー研究。各被験者は高強度のレジスタンストレーニングa、bの2セッションを行った:(a)3セットのレジスタンストレーニングを自己選択したレップ持続時間で行う(SELF);(b)3セットのレジスタンストレーニングを決められたレップ持続時間(コンセントリック2秒、エキセントリック2秒)(FIX)。レジスタンストレーニングセッション中の外側広筋及び内側広筋の筋活性は表面筋電図(EMG)によって計測した。

結果
全体的に、レジスタンストレーニングのボリュームはSELF群の方が有意に大きく(p=0.01)、レップごとの張力下の時間はFIX群が有意に大きかった(p=0.001)。セッションごとの張力下の時間にグループごとの有意な差はなかった。プロトコル間の比較において、FIX群よりもSELF群が1セット目(S1:p=0.01)、2セット目(S2:p=0.03)及び3セット目(S3:p=0.03)の時点でより大きなEMGの数値を示した。SELF及びFIXの両群ともセット中の総レップ数の25%の時点から100%の時点へEMGの数値が有意に向上した。プロトコル間の比較において、EMGの数値がセット中の総レップ数の75%と100%の時点でSELF群がFIX群と比べて有意に大きかった。

結論・実践への応用
自己選択したレップ持続時間では、決められたレップ持続時間に比べてレジスタンストレーニングセッションにおけるボリュームと筋活性が大きくなった。

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