HPCスタッフコラム

2019.03.06

両側性と片側性のプライオメトリックス:垂直跳びへの効果

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以前、スタッフコラムで両側性と片側性のエクササイズの効果を検証した研究を紹介しました(リンク)。スクワットとステップアップのトレーニング効果を比較した研究でしたが、片側性のエクササイズのみの実施でも両側性のスクワットの重量の向上に効果を示しました。

今回紹介する研究は片側性と両側性のプライオメトリックトレーニングがそれぞれ両側及び片側のジャンプパフォーマンス及び筋力発揮にどのような影響を及ぼすか比較しています。

 

Comparison between unilateral and bilateral plyometric training on single- and double-leg jumping performance and strength.
片脚及び両脚のジャンプパフォーマンスと筋力における片側性と両側性のプライオメトリックトレーニングの比較

Bogdanis, GC, Tsoukos, A, Kaloheri, O, Terzis, G, Veligekas, P, and Brown, LE.

J Strength Cond Res 33(3): 633–640, 2019

目的
この研究は片側及び両側のプライオメトリックトレーニングが片脚及び両脚のジャンプパフォーマンス、最大筋力及び力の発揮率(RFD:Rate of Force Development)に与える影響を比較した。

被験者
適度なトレーニング経験のある15名。男性8名(年齢19.8±2.9歳、身長1.78±0.06 m、体重72.3±10.2 kg)及び女性7名(年齢19.4±0.5歳、身長1.64±0.07 m、体重58.0±4.1 kg)が研究に参加した。

方法
被験者は無作為に片側性(U、n=7)または両側性(B、n=8)のグループに振り分けられた。両グループは最大努力の下半身のプライオメトリックを週に2回、6週間にわたって行った。Bグループは全てのエクササイズを両脚で行い、一方でUグループは総回数の半分ずつを各脚で行い、そのためトータルのエクササイズのボリュームは等しかった。ジャンプのパフォーマンスは反動を使ったジャンプ(CMJ:Counter Movement Jump)及びドロップジャンプ(DJ)を用いて評価し、アイソメトリックレッグプレスの最大筋力及びRFDをトレーニング期間の前後でそれぞれの脚及び両脚同時の場合において測定した。

結果
両脚による反動を使ったジャンプの増加率はU(12.1±7.2%)とB(11.0±5.5%)のグループ間で有意な差はなかった。しかしながら、右脚と左脚ずつのCMJの合計はUグループのみにおいて向上し(19.0±7.1%、p<0.001)、Bグループにおいては変化がなかった(3.4±8.4%、p=0.80)。レッグプレスによる両脚の最大アイソメトリック筋力は両グループで同様に向上した(B:20.1±6.5%、U:19.9±6.2%)。しかし、右脚と左脚の最大筋力の合計はBグループと比べUグループにおいてより大きく向上した(B:23.8±9.1%に対してU:11.9±6.2%、p=0.009)。同様にRFD0-50(0 sから50 msまでの力の発揮率)及びRFD0-100(0 sから10 msまでの力の発揮率)の右脚と左脚の合計値はUグループのみにおいて向上した(34~36%、p<0.01)。

結論・応用
片側性のプライオメトリックトレーニングは両側性のトレーニングと比較して、片脚及び両脚のジャンプパフォーマンス、レッグプレスによる最大アイソメトリック筋力及びRFDを向上させるのにより効果的であった。

オリジナルの文献はこちら

 

ストレングスエクササイズ同様、今回の研究でも片側性のプライオメトリックトレーニングから両側性のジャンプパフォーマンスへの効果の移行が見られました。また両側性のトレーニングから片側性への効果の移行が見られないという興味深い結果も得られました。スポーツにおいては、片側のみで跳躍を行う場合が数多くあります。そのため、ジャンプパフォーマンスの向上を図るトレーニングにおいては、両側のみでなく、片側性のプライオメトリックスを多く行う必要があるでしょう。